GLOBAL LAND’OR × 愛産商会 ~Our 4PL Story~
前編

GLOBAL LAND’OR × 愛産商会
~Our 4PL Story~前編

グローバルランドールが新しく提案する貿易業務委託サービスの4PL(Fourth Party Logistics)。

今回は4PLサービスの最初のお客様である株式会社 愛産商会 代表取締役の多湖大介様と取締役 営業部長の多湖有里様にインタビューさせていただきました。

*この記事は2024年2月のインタビューを基にしています。

前編では愛産商会様が欧州産レザーの仕入れに関して、これまでの二次流通業から自社で直輸入をする一次流通業(問屋業)へと転換を図った経緯についてお話していただきました。

4PL前夜、愛産商会様を取り巻くレザー業界はどのようなものだったのでしょうか?

株式会社愛産商会
代表取締役 多湖大介様 取締役 営業部長 多湖有里様

株式会社愛産商会
代表取締役 多湖大介様
取締役 営業部長 多湖有里様

グローバルランドールジャパン合同会社
共同代表 伊神輝彦  代表取締役 ラオメドンテ・アンドレア

グローバルランドールジャパン合同会社
共同代表 伊神輝彦
代表取締役 ラオメドンテ・アンドレア

多湖代表:(株)愛産商会は1950年に名古屋市で創業。設立から数えると今期で第71期になります。創業当時より鞄やランドセルメーカー様を中心にレザーや材料を卸しています。もともと名古屋市西区はレザー関連の問屋さんがたくさんあったのですが、今残っているのは数えられる程です。

アンドレア:グローバルランドールという会社は2008年にスタートしました。拠点はイタリアのミラノです。アパレル用の生地やインテリア関連の資材、食品などを主に扱っています。レザーに関しては2011年頃から取り扱っています。伊神が以前に在籍していた会社からの依頼を受けてトスカーナのTEMPESTI社と繋がったのがきっかけですね。

伊神:愛産商会様との出会いも、私がその会社で営業をしていた時でした。いろいろあってその会社は無くなってしまったのですが、それを機に独立しようと思い立った時に最初に声をかけたのがアンドレアです。お互い思うところが同じだったみたいで、その場ですぐにグローバルランドールジャパンをつくろうと決めたんです。2022年の話です。

伊神:愛産商会様において、インポートレザーの立ち位置はどのようなものなのでしょうか?

多湖部長:弊社では10年ほど前までは国産レザーが主流でした。ヌメ革ですとカービング用の牛タンロー、柔らかいクローム革の黒や焦げ茶などが人気で今よりも出ていた気がします。ただ、ある時期からレザークラフトの人口がぐぐっと増えてニーズが細分化しました。特に若いレザークラフターさんからは、より経年変化を楽しめるイタリアの植物タンニン鞣しレザーが求められるように。そのニーズに応えるべく、ちょっとずつカラバリを増やしたり、新規のタンナー様の取扱いを始めたりしました。その過程で、TEMPESTI社のMAINEやELBAMATTのようなヒット商品が生まれたり、今では定番となっているインポートレザーに出会いました。

伊神:レザークラフト人口が急増したのが理由だと思うのですが、ちょうどその頃から問屋業をしている会社がそれまでのB to Bに加えて、一般のお客様にレザーを1枚から販売するB to Cにも力を入れるようになった気がします。今では問屋さんがSNSやECサイトを駆使して千客万来のプロモーションをする事も珍しくなくなりました。ただ、そうなると価格差が表面化し始めます。輸入元である問屋さんと、その問屋さんから仕入れて二次流通をするショップ。両者の間にかつてあったお客様の境界線がなくなってしまいました。お客様はデシ1円でも安い方が良いし、しかも問屋さんなのに1枚から販売してくれるとなると、何とかしてショップの向こう側にいる輸入元の問屋さんとつながりたいと思います。私も以前は問屋として愛産商会様に卸売をしていましたが、実際にお客様の流入というのは起きていました。せめてもの配慮として、同じ商圏内で愛産商会様とバッティングするショップには販売しないというお約束のもとに営業していましたね。

アンドレア:海外からみると、日本のレザー業界は売上と利益のバランスが取れていないと感じる。
何より、自分たちの中でOKとしている利益率がびっくりするくらい低いと感じる。例えば、イタリアでは法律によって卸売業者に対して最低限確保しなければいけない利益率が定められている。最近はタンナーとのコネクションを打ち出す日本の業者も増えているが、タンナーが望んでいるのは彼らをブランドとして扱い、プロモーションを行って、それも踏まえての適正価格で売ること。
例えば、トスカーナで1位2位を争う規模のタンナーは間違いなくTEMPESTI社だ。ELBAMATTやMAINEは唯一無二のものとしてブランディングされていてヨーロッパやアメリカのハイブランドが使いたいと言う。では日本におけるTEMPESTIはどうかというと、海外のポジションとは全く違って平凡な立ち位置だ。単にモノを売っているという感覚で商売をしてきて、ブランディングとプロモーションが伴わなかった結果だ。そして安易な価格競争に走る。安く仕入れる方法を知っているから安く売るというのは、ノウハウではない。そこが、日本はとても弱いように見える。

一同:(苦笑)

伊神:愛産商会様の話に戻りましょう。コロナ禍を経ての現状を聞かせて下さい。

多湖部長:コロナ禍で外出ができない状況の中、巣ごもり需要でレザークラフト関連の売上は上がりました。副業としてレザークラフトを選ればれる方もいらっしゃって。ただ、その後の物価高による仕入れ価格の値上がりと、それに伴う消費マインドの落ち込みが激しく、リピーター様からの引合いが目減りしているというのを実感していました。

多湖代表:店舗に足を運んで下さるお客様は変わらず弊社を贔屓にして下さっているのですが、ネット上の、ECサイトでの業者間の競争というのは激しくなっていきました。レザーの販売方法やサイズを工夫し差別化を計っていますが、やはり価格面でいうと問屋さんには適わないので。

伊神:はい。ECサイトで購入する消費者は、運営側の業態の違いによる価格差の事情なんて考えないですからね。どうして同じ商品なのにサイトによってこんなにデシ単価が違うのよ!?っていう・・・

アンドレア:ヨーロッパの物価高も、水道高熱費に人件費など天井知らずです。だから、レザーの価格が上がり続けるのは避けて通れないのですが、日本の場合は円安が続いているので更なる追い打ちになります。それにも関わらず、日本が価格転嫁に及び腰なのにはすごく違和感がある。

伊神:値上げしたい気持ちをぐっとこらえて、目減りした利益を自分の身を削って補うんですよ、我々日本人は。

アンドレア:それだと、ネガティブなサークルしか描けないね。誰も幸せにならない。

伊神:実際、当時の弊社は愛産商会様へ卸売する立場でしたが、なかなかに心苦しいものがありました。弊社としては、イタリア側での商品の値上げと円安の影響でどうにもこの価格でしか卸せない、でもそうなると愛産商会様の店頭価格が跳ね上がってしまい、他社との競争から脱落してしまう・・・・
どうしたものかと考えたときに、ふと思ったんです。
弊社が一次流通(問屋)である必要はないのでは?と。私たちはショップを構えていないですし、ECサイトの開設にも消極的です。であれば、イタリアの本家グローバルランドールがそうしてきたように、グローバルランドールジャパンも貿易業務委託のサービスに切り替えてみてはどうだろうかと。

それで新しく始めたサービスが、この4PL(フォーピーエル)です。
4PLは物流業界で使われているワードです。お客様に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託する業務に加えて、お客様のニーズに合わせた戦略的コンサルティングまでをご提案せていただくサービス、という意味があります。

これをやろう!と決めてすぐに愛産商会様に提案させていただいたんです
“今からイタリアンレザーの輸入元、問屋になりませんか?”と。

後編に続く。